人の心を読むことができる特殊能力「テレパス」を持つ少女・火田七瀬(芦名星)は、高校卒業後、住み込みの家政婦の仕事をしながら各地を転々としていたが、家族の内面を読んでしまうことで生じる亀裂や、自分の能力を人に悟られることが不安になり、仕事を辞めて旅に出る。
それから数年後、七瀬は自分と同じテレパスを持つ7歳の少年・山沢ノリオ(今井悠貴)と、念力で対象物を動かす「テレキネシス」の能力を持つ黒人青年ヘンリー・フリーマン(ダンテ・カーヴァー)と出逢う。未知能力者としての苦悩を抱え、孤独な日々を送っていた三人は共に北海道の湖畔でひっそりと暮らすことを決意する。
そんなある日、旅先のマカオから帰国の途に着いた七瀬は何者かの邪悪な敵意を感じ取る。マカオで知り合った真弓瑠璃(前田愛)と七瀬は襲撃者をなんとか振り切り、都内のホテルに逃げ込む。
ちょうどその時、七瀬を心配してホテルの周囲で警戒していた予知能力者の岩淵了(田中圭)から携帯電話で「気をつけろ」と警告を受ける。以前、列車で一度だけ出会った七瀬と了は、互いに惹かれ合っているのをわかっていたが、七瀬に自分の心を読まれる恥ずかしさに耐えられない了は、直接の再会を拒んでいるのだった。
了の警告に従いながら、七瀬は水族館に勤める親友でタイムトラベラーの漁藤子(佐藤江梨子)を訪ねる。藤子は、七瀬たちと同様の能力を持っているかもしれない友人が行方不明であることを打ち明け、日を改めて北海道の七瀬たちの家へ行くと約束する。
しかし、七瀬と瑠璃はホテルで待ち伏せにあい、瑠璃は七瀬の身代わりとなって射殺されてしまう。七瀬は襲撃者が属する組織のリーダーである狩谷(吉田栄作)の存在を感知、全ての能力者を地上から抹殺するために彼女たちを追っていることを知る。
能力者ではない一般人の瑠璃を事件に巻き込んでしまったのは自分のせいであると考えた七瀬は、狩谷が率いる暗黒集団に追われながらも、タイムトラベラーの藤子に頼んで過去へ連れ戻してもらい、そこで出逢った生前の瑠璃に別れを告げるのだった。
暗黒集団と雌雄を決する覚悟を胸に、ノリオとヘンリーの待つ北海道へと向かった七瀬だったが、暗黒集団の魔の手は警察組織の上層部にまで侵食しており、彼女たちの居場所は突き止められ、襲撃を受けてしまう。一方、狩谷に不審の念を抱く初老の刑事、山木義男(平泉成)は、たった一人で彼の行方を追っていた…。
「七瀬ふたたび」は、多岐川裕美(多岐川華子の母親)がヒロインを演じた1979年の『NHK少年ドラマ』シリーズ、蓮佛美沙子がヒロインを演じた2008年の『NHKドラマ8』など4回もドラマ化されている。原作者である筒井康隆の「作家生活50周年記念映画」である本作品は、原作に忠実に描くことを重視しているが、連載当時(1972年)との時代背景の違いを理由に、エンディングには大きな変更が加えられており、希望を感じさせる内容になっている(原作では七瀬の仲間はみんな死んでしまい、七瀬本人も命を取り留めることはないと思われるエンディング)。なお、本作品の公開を記念し、ニコニコ動画では超能力者・秋山眞人による生放送『超能力ちゃんねる』が配信された。
ヒロインの七瀬役には原作者である筒井康隆をして「もっとも七瀬らしい七瀬」といわしめた芦名星を抜擢。『たとえ世界が終わっても』、『シルク』、『ジュテーム~わたしはけもの』などにおけるクールビューティな演技で評価の高い彼女だが、本作品においても、陰のある美しさと感情を抑えた演技で原作に近いヒロインのイメージを忠実に再現している。
脇を固める共演陣には、数々のドラマ・映画で人情味溢れる刑事役、父親役を演じている平泉成、『すべては海になる』の佐藤江梨子、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の田中圭、『戦慄迷宮3D』の前田愛、ソフトバンクCM『白戸家(ホワイトけ)シリーズ』の兄役として一躍脚光を浴びることになったダンテ・カーヴァーなど。